中国近世語学会2024年度研究総会のご案内

ごあいさつ

 四季感の乏しい陽気が続いておりますが、会員諸氏には如何お過ごしでしょうか。さて今年度も以下の通り、研究総会を実施いたします。厦門大学李無未先生のご講演の他、4つの研究発表が予定されております。どうぞ奮ってご参加ください。
 さて、特に申し上げることもないので、最近気づいたことを申し上げたいと思います。太田辰夫先生の『中国語歴史文法』が中国で知られるようになったのは梅祖麟がアメリカから一時帰国された際にこの著作を紹介されたのが契機となったようです。では梅祖麟はどのようにして、この書の存在を知られたのか。これについて『王士元先生口述史』(孔江平・汪鋒採訪整理,雲南大学出版社,2017年)に興味深い記述があります。該書(p.110)に「日本に講演に行ったおり、1人のとても謙虚そうな日本人が私のところに駆け寄ってきて、私にある本をくださった。その方は太田辰夫と自己紹介された。私は梅祖麟がこの方面に関心を持っているのを知っていたので、2冊もらったうちの1冊を彼に進呈したのです。彼はとてもこの本が気に入ったようでした」。梅祖麟は漢語史研究の3冊の必読書(他の2冊は呂叔湘『漢語語法論文集』、王力『漢語史稿(中)』)の一つとして『歴史文法』を挙げておられるが、それが上のようなひょんな出会いであるのがおもしろいと思います。

中国近世語学会会長 山田 忠司
2024年5月1日

日時:2024年6月8日(土) 10:00開始
場所:神戸市外国語大学 三木記念会館
〒651-2187 神戸市西区学園東町9丁目1
https://www.kobe-cufs.ac.jp/access.html
*神戸市営地下鉄「学園都市」駅下車徒歩すぐ
(神戸市営地下鉄西神・山手線「新神戸」から「学園都市」までは約27分、
「三宮」から「学園都市」までは約24分)

プログラム
研究発表 午前の部 10:00〜12:00
10:00〜11:00
余仁偉(関西大学大学院)
从明初吴语区诗人诗作的出韵来看明代初期吴方言的一些韵母特征
  最早的吴语韵书应该是明代后期王应电所著《韵要粗释》,在此之前并没有专以吴语音系作为基础的韵书资料出现。在韵书资料匮乏的情况下,也应当可以使用诗这一类韵文作为中间资料来研究韵母。明代初期吴语区诗人的诗作中,有为数不少的用韵不符合诗韵的出韵诗作存在,通过对比明代后期的吴语韵书可以发现这些出韵诗作的用韵与吴语韵书中反映的韵母体系贴合,那么可以推断明初吴语区诗人所创作的这些出韵诗作是使用了当时的吴语来进行押韵了,应当可以一定程度反映明初吴语的韵母。本研究归总了明代初期吴语区31名诗人的共150首出韵诗作,并对诗作的出韵进行分类讨论,以粗略探究明代初期吴语韵母的一些特征。

11:00〜12:00
今村圭(京都産業大学)
使役動詞の使用状況からみる北京語資料の性質の差異について―清末以降を中心に―
 すでに多くの研究者が指摘しているように、どのような資料を用いるかは、中国語の歴史的研究において非常に重要である。もし北京語の変遷を研究対象にするのであれば、北京語で書かれた作品を対象資料としなければならない。しかし、同じようにどれも北京語で書かれたとは言っても、異なる作品の間には北京語を反映する程度において差が存在する。本発表では、使役動詞の使用状況から、清末以降の北京語で書かれたとされる作品を対象資料とし、それらの北京語を反映する程度を考察する。

12:00〜13:00 休憩
研究発表 午後の部 13:00〜1:00

13:00〜14:00
荒木典子(東京都立大学)
『満文金瓶梅』の内部差異
 『満文金瓶梅』(康熙47年序刊本)は、方針の異なる複数の人物が頻繁に交替しながら翻訳されていたことを、形式と語彙の特徴から読み取る。方針の違いを反映する特徴として以下の三点が見られる。
 ①各回冒頭の韻文の引用方法に3つのパターンがある。
 ②既に登場している人物を初登場扱いしていることがある。
 ③同一の語句に対して異なる満文訳が施されていることがある。
三点目では、人物名について論じる。人物名のうち、親族名称を含む通称、呼び名には、満文訳にバリエーションが生じやすい。例えば「孟三姐」にはmeng-san-jiyei、meng ilaci gegeという二通りの満文訳がある。人物名の訳し方に見られるバリエーションは、複数の訳者の見解の相違を表すものと考えられる。しかも同一回内に両方の訳が見られることから、回の途中でも訳者の交替はあり得たであろう。人物名等に漢文添え書きが付されたタイミングと効果についても考察する。

14:00〜15:00
岩田憲幸(龍谷大学名誉教授)
『中原音韻』音系uau韻母存在説について
 元・周徳清『中原音韻』の音系にuau韻母が存在するという指摘は、つとにしめされている。だがこの見解はいまだひろくうけいれられるにはいたっていない。近代漢語の音系にはたしてuau韻母はあったのかいなか?これは漢語音韻史研究においてさけてとおれない問題である。
 『中原音韻』系の韻書に明・王文璧『中州音韻』がある。本論では『中州音韻』音系にuau韻母が存在することが確認できることを報告する。このことは『中原音韻』にuau韻母が存在することの有力な傍証となる。その他の音韻史料にもuau韻母が存在する徴証がみられる。近代漢語の音系にuau韻母が存在するという見解はみとめられなければならない。

招待講演(15:15〜16:15)
李無未(厦門大学中文系、東京大学客員研究員)
《韵镜》“内外转”构式“不对称性”与“官话音”变式图衍生

日本学者研究中国《韵镜》已经800多年。清末,《韵镜》从日本回传到中国,引起了中国学者极大地兴趣,由此,中日互动,对《韵镜》展开了极其深入的研究。其中,“内外转”构式认知,成为争议比较大的焦点。本文从《韵镜》内外转构式认知中的“对称性”与“不对称性”角度切入,以“不对称”构式特征为认知起点展开论述。比如“二等字五音具足与否”理论矛盾之处,罗常培“内外转”拟音“构式”以主要元音翕侈而“二分”做法的局限性。三泽谆治郎认为,研究《韵镜》“内外转”“构式”应该从历史进程去理解。我们受其启发,提出《韵镜》内外转构式“不对称”特征及其衍生变式研究观点。大田嘉方《韵镜遮中抄》与汤浅重庆《韵镜问答钞》同属一系韵图。《韵镜遮中抄谚解》“构式”图“内转第二十八合”之“内转”“外转”标记,仅仅是一种符号而已,并没有实际语音结构分析的意义。《韵镜遮中抄谚解》每一转图之内的字音安排在悄然发生变化,这与其罗常培所强调的《韵镜》“内外转”之“舌缩为内、舌舒为外”内涵肯定是没有必然的联系,可以说,这与《韵镜》“内外转”对称性“构式”已经基本无关了,走向了另一种“不对称”“变革”构式“变形”的道路。日本《韵镜藤氏传》原有的“内外转”只是一种摆设,而新的等呼认知,成为制约“内外转”调整的至重要素。日本《华音韵镜》强调“中华变音”“内外转之间转化”,强化汉语官话语音“内外转互变”意识,这是值得进一步研究的现象。

16:15〜16:30 休憩

16:30〜17:00 総会
審議事項・報告事項
1.役員について
2.会計報告
3.2024年度研究集会について
4.その他

閉会

年会費納入のお願い
今年度(2024年度)会費(一般5,000円、院生・学部生3,000円)を、郵便振替にてお納めください。昨年度分までの未納のある方は、年度を明記のうえ、併せてお納めください。
郵便局備付の振替用紙(青色)に必要事項を記入してください。

郵便振替 口座番号:00980-6-119965 口座名称:中国近世語学会