中国近世語学会2012年度研究集会

中国近世語学会2012年度研究集会

ご挨拶

尖閣列島を日本が国有化したところから発した反日運動をきっかけとして、戦後最悪に陥った日中関係。2012年は日中国交回復40周年という節目の年であったにも関わらず、記念行事が中止されるなど、結果的には最悪の記念の年となってしまいました。日中関係の仕事に携わっている方々のご意見を伺ってみますと、「今回の日中関係の冷え込みは深刻で、しかも長引くだろう。」という見通しが大勢をしめています。
ただ、私たちは如何に困難な情況にあったとしても、教育・研究という責務は放棄できません。ないがしろにもできません。寧ろ困難な情況であるからこそ、それを打破すべく自らがおかれている場で、最大の努力をなすべきと考えます。
今年の研究集会は、浙江大学漢語史研究中心主任、浙江大学漢語言研究所所長・方一新教授の講演を実現することができました。方一新教授は、現在日本学術振興会外国人招聘研究者として北海道大学にお見えで、ご講演をお願いしましたところ、快諾を得ました。貴重な機会ですので、会員がふるって参加されることを願ってやみません。なお、方一新教授の講演実現につきましては、北海道大学の松江崇准教授にひとかたならぬお世話になりました。この場をおかりして、お礼を申し上げたいと思います。

会長 佐藤晴彦

2012年度春季研究総会ご案内

日時:12月8日(土) 10時30分より
場所:愛知大学東京事務所
銀座線 虎ノ門駅直結〔11〕より徒歩2分,千代田線 霞ヶ関駅〔A13〕より徒歩6分
日比谷線 霞ヶ関駅〔A13〕より徒歩7分,丸ノ内線 霞ヶ関〔A13〕より徒歩9分
有楽町線 桜田門駅〔2〕より徒歩9分,南北線 溜池山王駅〔8〕より徒歩9分
都営三田線 内幸町駅〔A3〕より徒歩10分,JR新橋駅〔日比谷口〕より徒歩11分

プログラム

研究発表

1)発表者:蔡娟(大東文化大学大学院)10:30~11:15
題目:「宋代白話文献における動補構造の“得”」
要旨:一般的に、現代中国語(“普通话”)の動補構造において、述語動詞の後につく“得”が二種類の文法機能を有すると考えられている:①可能補語:吃得/吃不得;②構造助詞:做得完/做不完(可能補語);玩儿得很开心(様態補語);急得要命(程度補語)。この二種類の用法は宋代白話文献にも存在する。宋代白話文献にまた“V得C”結果補語(《乙卯入国奏请》例:不曾商量得些子处了当。)と“V得C”方向補語(《景德传灯录》卷21例:将得什么物来。)が見られ、このような補語構造は現代中国語においては既に使われなくなっている。本発表は、宋代白話文献における“得”によって構成される動補構造を分類、整理した上で、宋代の“得”字補語をもって、唐代及び現代の“得”字補語に対照させ、“得”は一体どういう文成分なのか?また、通時的な視点から、宋代、“得” がどのように文法化していったか?“V得C”結果補語と“V得C”方向補語はなぜ消えたか?関連する問題点の探究を試みたい。

2)発表者:王晓雨(関西大学大学院)11:25~12:10
題目:「清末新名词的是与非以张之洞为中心
要旨:甲午战败后,中国兴起向日本学习的热潮。1896年,康有为在呈送清政府《请广译日本书派游学》的奏折之中提到:“日本之所以有今日之强而胜我,是因为早变法,早派留学,早译其书,而善其治。”随着留日及译介活动的展开,日译名词大量流入中国。这些所谓的“新名词”给中国传统的话语体系带来了极大的冲击。围绕着“新名词”的论争从19世纪末期一直延续到20世纪初期。清末洋务派官员张之洞提倡“中体西用”,实行新政、废除科举、兴办新式学堂,还曾资助过《时务报》,同时也鼓励派遣日本留学生及广译日本书籍以摄取西方思想文化。但其对“新名词”的强烈厌恶却颇为闻名。江庸的《趋庭随笔》、陈英才的《两湖书院忆闻》中都有所提及。本文拟从张之洞对“西学”及“新名词”的相关论述进行分析,探寻张之洞的西学观及厌恶“新名词”的思想根源。并以此为基础,探讨“中体西用”在清末的影响和困境,及其与近代 “新名词”论争之间的关系。

お昼休み

3)発表者:藤本健一(大東文化大学大学院)13:30~14:15
題目:「清末漢訳法律文献に見える法律語彙―在華宣教師マーティンとフライヤーの漢訳書を中心に―」
要旨:本発表はマーティン氏(丁韙良)漢訳の《万国公法》(1864)《公法便覧》(1878)とフライヤー氏(傅蘭雅)漢訳の《各国交渉公法論》(1894)《各国交渉便法論》(1894)に見える法律語彙の全貌を提示するとともに、フライヤー氏が清末の法律分野に与えた影響を考察する。
マーティン氏漢訳の《万国公法》はアジアに初めて本格的に国際法の概念をもたらしたことで高く評価されている。その法律用語は中日両国に吸収されるなど、法律分野に残した功績は大きい。一方、150種以上の漢訳書を世に送り出したフライヤー氏は翻訳家として知られるが、法律分野における評価は管見にしてあまり知らない。そこで、まずマーティン氏とフライヤー氏の両者が漢訳法律文献に使用した法律語彙の類似性と影響関係を明らかにする。次に、フライヤー氏が用いた法律語彙と《大清新法令》に見える法律語彙とを比較し、清末の法律分野におけるフライヤー氏の漢訳書の影響力について検討する。

4)発表者:韩一瑾(関西大学大学院)14:20~15:05
題目:「20世纪初现代汉语音译外来词研究」
要旨: 从晚清到“五四”前后,随着西方近代科学文化的大量输入,中国社会有了使用汉语表达新事物和新概念的强烈需求。由此带来的外来词语的引入、汉语新词新语的创制使得现代汉语词汇逐步形成和发展起来。从外来概念引入的方式来看,可将这些词大致分为“音译”和“意译”两种。早在明清时期西洋传教士的著作中就已经产生了大量的音译词,但是由于传教士遍布于中国各地,难免受到当地方言土语的影响,加上各自用字上的习惯不同,早期的音译词的译法以及转写时所用汉字等情况纷繁复杂。而到了20世纪初期,一些音译词终于以一种相对稳定的状态被载入到当时的汉外辞典中。本文通过对这些音译外来词的“一词多译”现象、音译词和意译词之间的关系、音译外来词的传入途经和汉语方言之间的关系等三个角度的考察,试图阐述纯音译词向意译词过渡并非汉语发展的必然趋势,音译词的存续和消亡与其所属学科、音节数等因素有关。

5)発表者:佐藤晴彦(神戸市外国語大学)15:10~15:55
題目:「明代の「さきほど」の意味を表す語をめぐって」
要旨:現代漢語で「さきほど」という意味を表す語といえば、即座に出てくるのは“剛纔”という語ではないだろうか。それが近世語、とりわけ明代となると、“剛纔”のほか“適來”、“適間”、“適纔”、“方纔”、“却纔”、“恰纔”など、かなり多くの語が使われているということに気づくであろう。こうした語彙群が、もし、資料ごとにかなりの偏りが見てとれるとか、同じ資料の中でも使われ方に偏りがあるとなるとどうであろう。そこに何らかの追究すべき問題があるのではないか。
 明代の「さきほど」の意を表す語を考察することで、何が見えてくるかを探求してみたい。

講演

方一新先生(浙江大学)
「《老乞大》《朴通事》词语札记」
要旨:《老乞大》《朴通事》都是朝鲜时代的汉语教科书,二书大致编于元末,明清两代续有修订,留下了多种不同时代的版本。历代各本的行文表述颇有异同,为考察元明清时期汉语词汇的发展演变提供了很好的材料。二书的许多词语,至今仍保留在现代汉语普通话或方言中。本文利用文献及方言材料,对《老乞大》《朴通事》中的若干词语作了考释疏通。
※出欠は案内封筒に同封の出欠ハガキを12月2日までにご返送、もしくは当サイト参加フォームからお送りください。

※発表者の方へ
レジュメは各自でご用意お願いいたします。
※研究集会終了後、方一新先生を囲んで簡単な懇親会を予定しております。皆さま、ふるってご参加ください。