2017年度研究総会開催のお知らせ

ご挨拶

 すでに真夏のような暑さを感じることもある今日このごろですが、会員の皆様にはご清祥のこととお慶び申し上げます。
 2017年度の近世語学会研究総会は下記の要領で開催されることになりました。ご案内がたいへん遅くなりましたこと、お詫び申し上げます。
 今回は4人の発表者による研究発表を予定しており、活発な議論が期待されます。
 どうぞ、奮ってご参加いただきますようお願い申し上げます。

中国近世語学会 会長 内田慶市 2017年5月9日

日時・場所

日時:5月27日(土) 13時より
場所:関西大学 千里山キャンパス 以文館4階セミナースペース
関西大学千里山キャンパスへは、
阪急電鉄「梅田」駅から、千里線「北千里」行で「関大前」駅下車(この間約20分)、徒
歩約5分。または京都「河原町」行(通勤特急を除く)で「淡路」駅下車、「北千里」行に
乗り換えて「関大前」駅下車。進行側(先頭車両)の改札から出てください。
http://www.kansai-u.ac.jp/global/guide/access.html
以文館へは、関西大学千里山キャンパス正門を入り、すぐ左の坂道をお上りください。

プログラム及び要旨

研究発表 13:00~14:30


1) 石亮亮(熊本大学・院)
「关于对《醒世姻缘传》中“喜欢”和“欢喜”的考察」

  现代普通话日常口语中在表达喜悦、欣喜的内心情感的时候,通常会应用到“开心”“高兴”这些形容词,一般很少使用“欢喜”这个词汇,更不会用到“喜欢”这个词汇,因为“喜欢”主要是表示喜爱义;在现代汉语书面语中更多地运用到“愉快”这个形容词。然而通过对明末清初的《醒世姻缘传》(简称《醒》)这本著作研究发现《醒》时代日常口语会话中在表达愉悦心理情绪的时候,会更多地应用“喜欢”这个词汇(出现36例,如例①),另外同样是表示开心快乐义的形容词“欢喜”,则更多的是被用到小说人物情节叙述描写中(出现41例)(如例②),所以有必要对《醒》中的“喜欢”和“欢喜”进行探究,它们两者在语义功能上到底还具有哪些特征,探讨怎样演变到现代普通话。
①寄姐道:聽見說給他衣裳穿,給他飯吃,我就生氣。見他凍餓着,我纔喜歡(醒80.1b.9)
②巳<=已>將日落時節,素姐惱巴巴不曾吃飯。寄姐因攛掇不聽,也就不大歡喜(醒95.11a.5)


2) 王姝茵(熊本大学・院)
「明清白話小説の親族呼称語について−「父」「母」「夫婦」を表す語の使用状況を例として

 親族関係を表すいくつかの同義の呼称語がある。それらの呼称語の意義が同一であっても、地域、使用者、使用場面、呼称相手、機能などの使用状況の各方面から見れば、必ずしも同一ではない。先行研究では、親族呼称語の分類について、“谦称和尊称”、“通语称谓与方言称谓”、“通用称谓和专属称谓”概念を使い、語言機能と地域及び使用相手と場面という三つの方面から各自アプローチしている。しかし、使用状況の重要な要素の一つである「使用者」に言及していない。使用場面と言語機能への検討も徹底していない。さらに、それらの概念は使用状況の一面から親族呼称語を描写したにすぎなく、同義の親族呼称語の使用状況への系統的な描写となっていない。そのため、本報告は「父」、「母」と「夫婦」関係を表す親族呼称語を例として、地域、使用者、使用場面、言語機能という四つの使用状況に重点を置き、明清白話小説の親族呼称語を詳しく分析し、系統的な親族呼称語の分類及びその基準を探してみたい。

休憩 14:30~14:45

研究発表 13:00~14:30

3) 盧驍(関西大学・院)
「日本人による中国語文法書における量詞の所属と下位分類」

  明治10年の大槻文彦による『支那文典』の刊行後、日本の中国語文法研究は古典における助字、虚字を中心とした考察から「官話文法」或いは「支那語文法」、即ち口語文法の研究へと一転され、新たな段階へと進んでいった。それに伴い、理論的に整理され、且つ体系的にまとめられた研究成果が相次いで世に問われ、その数は数十冊にも達している。
 明治初期から昭和中期に至るまでに日本国内に於いて刊行された中国語口語文法著作を概観すると、多くの日本人研究者は量詞を取り上げ、しかもそれを中国語の一大特徴として捉えている。
 これまでの量詞に対する周縁の視点からの研究として、伊伏啓子(2007)、Masini.Federico(2008)に代表される研究者は、西洋人宣教師によって著わされた文法書類をめぐり、様々な成果を挙げている。ところが、日本の中国語文法研究書を対象に、日本人研究者が量詞について如何に観察し、どのように論じているかを明らかにする考察は、管見の及ぶ限り、まだ見られない。従って、本稿は日本語資料における量詞に関する記述に焦点をあて詳察してみた。
 まず、量詞の所属について、殆どの欧米人研究者が量詞を数詞の範疇内に扱っているのに対して、日本人研究者の量詞に対する捉え方には大きな個人差が存在する。数詞のみならず、量詞を名詞、助詞、形容詞の範疇内に取り入れたもの、乃至量詞を独立した一品詞として立てほかの品詞類と一線を画したものも少なからずある。尚、多くの研究者は量詞の表している意味、及びそれが果たしている機能により、様々な下位分類も行われている。
 一方、日本人研究者の所論において、トーマス•ウェードの『語言自邇集』やクロフォードの『文学書官話』から継承しているところも散見されることからすれば、そのような西洋人による欧文資料の渡来は、日本人研究者の量詞観の構築には多少とも影響を与えたことが推定できよう。

4)山田忠司(文教大学)
「『北京官話全編』の言語初探」

 元日本大学教授鱒澤彰夫氏旧蔵の深澤暹著『北京官話全編』(現在は関西大学アジア文化研究センター所蔵)は最近までまったくその存在が知られていなかった孤本である。序跋などもなく、成書時期など目下のところ不明である。影印本(2017年2月関西大学出版部発行)「はじめに」において内田慶市先生が述べておられるように該書は太田北京語7特徴をすべて満たしており、該書の言語を北京語と認定することは問題ないであろう。その前提に立てば、該書の特徴こそが北京語の特徴ということになる。該書は全378章、1500頁、30万字を越える大部な書であり、北京語研究の宝庫となり得る可能性を秘めている。本発表はその言語に対する初歩的な調査により筆者が気づいた諸点について述べる。

総会 16:20〜16:50

懇親会 17:00〜

*参加希望者はハガキにて、5月25日頃までに、出欠をお知らせください。
*発表者の方はレジュメ(30部程度)は各自でご用意のほどよろしくお願いいたします。